ノーコードアプリのメリットとデメリット
- 効率化
- プロジェクト
ノーコードアプリとは全くプログラムのコードを書くことなく、GUI上で既に用意されている機能を組み合わせながら、アプリを作成できるシステムのことです。
これまでのWEBアプリやクラウドサービスでは、既にパッケージとして用意されているものを利用するのが一般的で、それにはプログラミングとシステムの構築が不可欠だったのですが、 ノーコードアプリを利用するとプログラム言語を使用せずアプリを作成することが出来ます。一般企業でIT人材が不足している昨今において、非IT人材でもデジタル化を進めることが出来る為大きな注目を集めています。
ノーコードのメリット・デメリット
大変注目されているノーコードアプリですが、さまざまなメリット・デメリットがあります。それぞれについて詳しくご紹介します。
メリット1 自社に必要な機能だけを利用できる
既存のクラウドサービスやパッケージのアプリでは、汎用化されたフォーマットが既に用意されていて、それに自社の運用を合わせてマスタ設定をしながら利用していきます。
例えば、ワークフローのクラウドサービスを導入した場合、申請時に必要な件名や本文、添付ファイルなどの項目は基本的には変更することはできません。
変更したい場合は、クラウドサービスの提供元へカスタマイズ開発を依頼することになり、費用が発生します。
また、自社の運用では使用しない項目は空欄のまま運用することになります。
しかし、ノーコードアプリではフォーマットを作るところから自社で出来る為、申請時の項目などを自由に設定することができます。
フォーマットを自由に作成できるということは、現在自社で運用しているフォーマットに限りなくあわせることができるという事です。クラウドサービス導入時によくある、ユーザーへの操作教育やマニュアルの再作成などのコストを減らし、短期間での導入が可能になります。
先程の例でいうと、必要な入力項目だけを準備して、自社の申請ルールに合わせて申請用のマスタを作成し、ワークフローを運用することが出来るようになります。
メリット2 プログラミング言語を知らなくても作れる
ノーコードアプリでは、基本的にGUI画面で機能の部品のアイコンをドラッグ&ドロップで操作しながらアプリを作成していきます。
またノーコードアプリによっては、既に汎用化されたフォーマットが準備されていて、項目名などを一部変更するだけですぐにアプリを作成することもできます。
従来ではカスタマイズ開発が必要だった、プログラミング言語やデータベースの知識が無ければ作成できなかったような事を、プログラミングの知識が無い人材でも実現出来るようになり、 今まで外注していた導入後の運用ルール変更によるカスタマイズや機能追加にも自社内で対応できるようになります。
デメリット1 複雑化・乱雑化しやすい
「自社での運用ルールに合わせたアプリを作成することが出来る」という点に対して一番陥りやすいデメリットが、運用していくうちに「自社の運用に合わせすぎて、特例ルールがあるアプリが多く存在する」ことになりがちということです。
例えば、社員の中から特定の条件で抽出したグループに対して、定期的なお知らせや通知を行いたい場合に、「ただしこの社員は除外する」というような条件が多数発生する場合です。
「〇〇役員を対象から抜きたい、でも対象から抜いていることを表面上出したくない」のような状態にしたい場合、ノーコードアプリで実現しようとすると複雑な条件設定を自社で設定しなくてはいけません。
こういった社内ル―ル・運用ルールが多い場合、アプリを管理・運用していくのに大きなコストがかかることになります。
デメリット2 プログラムの処理ロジックを知らないと作れない場合も
ノーコードアプリは、機能アイコンをGUI上で組み合わせて作成するとご紹介しましたが、処理手順、いわゆるプログラムのロジックの作り方を知らなければ作れない場合もあります。
GUI上で組み合わせて作るということは、プログラムをGUI上で組み立てることと同じだからです。
フォームに入力された内容のチェックはどの段階でするのか、もし途中保存したい場合はどうするのか、登録されたデータを一覧で見るとき、どのような情報でどのような集計が必要なのか等、配慮しなくてはいけない部分が沢山あります。
もちろん、既に用意されているフォーマットを利用すればカバーできるものも多数用意されています。が、ノーコードのメリットである「自社で簡単に作れる・変更できる」点を享受しようとしたとき、本当に業務で利用できるレベルで作成できるのかという点を考慮しなければ全くメリットを生かすことが出来なくなります。
店舗向けのアプリを作るには?
では、店舗展開をしている企業において、ノーコードアプリを導入しようとしたとき、どのような点に気をつけて選定したり運用したりすればいいのでしょうか?
店舗スタッフの年代が使いやすいUIにすること
企業により、様々な年代のスタッフが勤務しているパターンと、ある程度年代が限られるパターンがあるかと思います。
大切なのは店舗スタッフの年代に合わせた画面設計や操作感を重視する事です。
年代によって見やすい文字の大きさが違うため、ユーザーが見やすい文字の大きさに表示の設定変更が出来る製品を選定したり、アパレルなどネイルをする女性が多い店舗の場合には、ネイルした状態でも操作しやすいようにボタンが配置出来る製品を選定するなど、自社の店舗スタッフに合わせた使いやすい製品を選定しましょう。
選定の際には、実際の店舗スタッフや店舗勤務経験のある社員に協力を依頼し、作ってみたアプリの使い心地や改善点などをヒアリングする機会を作るのもオススメです。
アプリを作成する際にも、店舗スタッフがデータを登録するような画面では、極力入力項目を減らし、シンプルな画面設計にすることで、データの登録にかかる時間を削減し、接客などのメインの店舗業務に割く時間を増やせるようにすることが大切です。
まとめ
ノーコードアプリのメリット・デメリットについてご紹介しました。
大切なのは、自社の運用に合わせて製品を選定していくことが大切です。また、監査対応などで外部へデータの提出が必要な場合は、そのデータが作成・出力できるかどうかも重要となります。
既に別のシステムや帳票などで運用している業務をアプリ化するのは既存のベースが出来上がっているので、比較的導入しやすいかと思いますが、「これを機に新しく運用を始めたい」場合には運用のベースが無いためいきなりアプリ化するのは難しいかもしれません。
ノーコードのアプリでの運用イメージが難しい場合は、まずはクラウドサービスやパッケージのシステムを検討してみるのもいかがでしょうか。
業務に特化して汎用的に作られているサービスを利用することで、自社の運用方法の不要な部分や変更する部分を整理しながら、効率的に業務を進めいく指標になるかと思います。