店舗のサービス品質向上

店舗のサービス品質向上|進まない4つの原因と具体的な改善策


顧客に選ばれ、リピートされる店舗づくりに欠かせないサービス品質の向上

それは企業イメージや顧客満足度、ひいては売上を左右する重要な経営課題です。

しかしいざ改善に取り組んでも、施策が現場に浸透しなかったり、思うような顧客の反応が得られなかったりと、多くの企業が頭を悩ませる難しいテーマでもあります。

サービス品質向上の施策は多岐にわたりますが、本記事では施策の土台となる情報共有の課題に焦点を当て、原因と具体的な対策を深掘りします。

サービス品質向上が重要な理由

サービス品質とは、顧客がサービスを受ける前に抱いていた期待と、実際に受けた後の評価とを比較する尺度です。単に「問題なく対応する」だけではなく、期待をどれだけ上回れたかが、サービス品質を左右します。

市場が成熟し、商品の機能だけで差別化を図ることが難しい現代において、サービス品質は企業の競争力を左右する重要な要素です。

同じ商品・同じ価格であっても、「対応が丁寧だった」「安心して任せられた」と感じてもらえれば、顧客の印象は大きく変わります。

品質の高いサービスによって顧客満足度が高まり、リピート率向上やスタッフのやりがいにもつながります。

 店舗のサービス品質向上に伴う6つの評価軸

顧客がサービスを評価する際の具体的な指標として、6つの評価軸をご紹介します。

要素1:正確性(約束通りのサービスか)

「正確性」とは、顧客と約束したサービスを、間違いなく正しく提供することです。

顧客の注文や会計においてミスがあると、顧客満足度が下がります。

「正確性」は、顧客からの信頼を得るための最低ラインであり、全てのサービスの土台です。

個々の業務における正確性はもちろん、ヒューマンエラーがあった時に気が付きやすい体制づくりも求められます。

要素2:迅速性(スピーディな対応か)

「迅速性」とは、顧客を待たせることなくスピーディにサービスを提供することを意味し、店舗の回転率や人時生産性にも繋がる重要な指標です。

注文、問い合わせ、トラブル対応など、あらゆる場面での「対応の速さ」がサービス品質を左右します。

近年は「タイパ(タイムパフォーマンス)」への意識が高まり、無駄な待ち時間や確認の遅れは、それだけで顧客の不満につながりやすくなっています。

迅速性を高めるには、ストアオペレーションの徹底はもちろん、顧客からの在庫や商品に関する問い合わせに対し、スタッフがすぐに確認できる環境づくりも重要な視点となります。

要素3:柔軟性(個別要望への対応が適切か)

「柔軟性」とは、顧客一人ひとりの状況や要望に合わせて、臨機応変に対応する力のことです。

ルールで縛りすぎ、融通の利かない対応は顧客の満足度を下げてしまいます。

一方でサービス標準化を目指すチェーンストアにとって、とある店舗での個別対応が「なぜ、あの店と違うんだ」という新たな不満を生むリスクも抱えています。

ジレンマを解決するためには本部が具体的な権限移譲や判断基準を設けて、現場が動きやすい環境の整備が必要です。

要素3:柔軟性(個別要望への対応が適切か)

要素4:共感性(親身な姿勢か)

「共感性」とは、お客様の立場に立って考え、その気持ちに寄り添う姿勢のことです。

ただ売れ筋の商品を勧めるのではなく、顧客が言葉にしきれない不安や期待を読み取り、先回りした提案ができれば、顧客は「自分のことを分かってくれている」と感じやすくなるのです。

本部としては個人の資質だけに頼るのではなく、顧客の要望を社内で共有し解像度を高めることが求められます。

要素5:安心感(信頼できる言動か)

「安心感」とは、お客様が不安を感じることなく、サービスを受けられる状態のことです。

スタッフの豊富な商品知識や、要望に対する姿勢が信頼感を高めます。

逆に、質問にあやふやな回答をしたり、約束した連絡を忘れたりすれば、お客様はすぐに不信感を抱いてしまうでしょう。

安定した安心感を提供するためには、個人の資質に頼らずに、本部による環境整備が必要です。

例えばQSCチェックの徹底や、商品情報へのアクセスを改善することでサービスのムラを防ぎ、安定した安心感をお客様に提供できます。

要素6:好印象(気持ちの良い店舗体験か)

「好印象」とは、スタッフの気持ちの良い接客態度はもちろん、明るく清潔な店内環境など、お客様の感情にプラスの影響を与える要素全般を指します。

これは、マニュアル通りの丁寧な対応を超えた「心地よさ」の演出と言えるでしょう。

「好印象」は属人化しやすく標準化が難しい領域ですが、だからこそ競合との大きな差別化に繋がります。

本部としては、現場の肌感覚だけに頼るのではなく、ミステリーショッパー(覆面調査)や顧客満足度調査(NPSなど)を定期的に導入し、客観的な視点で自社の強みと弱みを把握することが有効です。

数値化しにくい「心地よさ」を可視化することで、改善の精度を高めることができます。

参考:【CS向上を科学する:第6回】サービス品質向上、6つのポイント~実は現場はピンときていない「サービス品質向上」~(サービス産業生産性協議会(SPRING))

サービス品質向上が進まない4つの原因と具体的な改善策

店舗のサービス品質を高めようとしても、本部の施策がなかなか現場に浸透しない、といった経験はないでしょうか。ここからはサービス品質の向上を妨げる原因を4つに分類し、それぞれに有効な改善策をご紹介します。

原因1:目指すべき『サービス像』が共有されていない

「お客様第一」という方針を掲げても、A店長は「積極的な会話」、B店長は「手際の良さ」をサービスだと指導するなど、店舗によって基準が異なっていると、現場の混乱や顧客の居心地の悪さにつながります。

原因として本部が掲げるサービス像の解釈が現場に委ねられ、全社で共有できる「共通の物差し」になっていないことが挙げられます。

改善するためには、サービス像を具体的な「行動リスト」に落とし込み、わかりやすく伝える必要があります。

課題(原因) 具体的な対策 期待される効果
サービス像が抽象的で、解釈が個々に委ねられている ①行動指針(クレド)の策定
理念を具体的な行動レベルまで落とし込み、誰が読んでも同じ行動をイメージできることを目標に(例:「お帰りの際は一歩前に出てお見送りする」など)
スタッフが日々の業務で判断に迷わなくなり、行動の基準が統一

成功事例のビジュアル共有
素晴らしい接客対応などを動画や写真付きで共有し、良いサービスのお手本を共有

良いサービスのイメージが具体的に伝わり、組織全体のサービスレベルを底上げ

原因2:品質を担保する『標準手順』が形骸化している

店舗から「マニュアル通りだと時間がかかる」「作ったきり更新されていない」といった声が上がり、なかなか手順書が現場に浸透しないという声を伺います。

結果として店舗ごとに作業品質がバラバラになり、サービスレベルが安定しない原因になります。

サービス品質を高い水準で標準化するためには、より現場目線のマニュアル作成と、マニュアルを共有する環境の整備が必要です。

課題(原因) 具体的な対策 期待される効果
手順書が形骸化し、店舗ごとに作業品質がバラバラになっている

①手順書の「オンライン化・ペーパーレス化」
モバイル端末でいつでも確認できるシステムに移行、動画の活用も

スタッフが知りたい情報をすぐにアクセスし、自己解決の促進

現場目線の手順書にアップデート
マニュアルに対して現場スタッフが簡単にフィードバックできる体制や社内風土の整備

現場の知見が反映された「生きたマニュアル」になり、形骸化の防止、スタッフの当事者意識の向上

原因3:品質向上に取り組む『現場の余力』がない

社内の報告資料の作成や行き違いによる頻回な連絡といったノンコア業務の負荷が高いと、本来サービス品質の向上に繋がるはずの接客や売り場づくりに時間を割けず、現場は疲弊します。

現場の負担を減らす施策は様々ですが、まず着手しやすいのが情報共有の見直しです。

なぜなら、電子棚札やAIカメラの全店導入といった大規模な設備投資に比べ、情報共有の効率化は低コストかつ短期間で始められるからです。

店舗スタッフの店頭業務にかける時間を創出することがサービスの品質向上につながります。

課題(原因) 具体的な対策 期待される効果
ノンコア業務に追われ、現場にサービス品質向上に取り組む時間的・精神的な余裕がない

情報共有ツールの一本化
本部指示、店舗からの報告、スタッフ間の連絡などを集約し、プラットフォーム化

情報伝達の効率向上、報告業務の時間を削減

②報告の手間・文字量の削減
売上報告などをスマホで簡単に入力できる定型フォーマット化、画像や動画活用による文字入力の削減

報告書作成の負担が大幅に軽減され、店舗スタッフがコア業務に集中できる時間が増える

原因4:頑張りが報われる『評価・称賛の仕組み』がない

店舗に寄せられた感謝の声やよい接客事例が、他の店舗や本部に共有されず埋もれてしまうことがよくあります。

細やかなサービスの改善や顧客の声は、本部から見えにくく評価されにくいのが実情です。

結果的にスタッフの頑張りが報われず、せっかくの成功事例が組織の資産にならずチェーン全体のレベルアップの機会を逃すことになります。

こうした「定性的な価値」を全社で共有・称賛する文化を形成し、得られた学びを自社のサービス向上に還元することが大切です。

課題(原因) 具体的な対策 期待される効果
サービス品質への貢献が評価・称賛されず、スタッフのモチベーションが上がらない

①成功事例を共有し「称賛」する場づくり
顧客に喜ばれた接客などを、写真やコメント付きで全社に共有する

投稿に「いいね!」や称賛コメントを送り合えるようにする

スタッフの意欲が向上する。良い事例が横展開され、組織全体の接客レベルが向上する

人事評価制度への「反映」
売上などの定量目標だけでなく、顧客の声や業務改善提案といったサービス品質への貢献度を、人事評価の項目に加える

会社が「サービス品質を重視している」という明確なメッセージが伝わり、スタッフの意識と行動にいい影響を与える

サービス品質向上の仕組み化をツールで実現する

サービス像の共有や現場の負担軽減。こうした店舗が抱える多くの課題は、情報共有の仕組みを整えることで解決に近づきます。

その具体的な手段として、多店舗運営に特化した情報共有ツールが有効です。

弊社の店舗Linkleの場合は、本部と店舗の情報共有を効率化し、サービス品質を高めるための土台づくりをサポートします。

店舗Linkleは、店舗間の成功事例共有や本部が作成したマニュアルへのフィードバック、アンケートといった機能を一つで完結させます。

現場の負担を減らしながら本部の方針をスムーズに店舗へ浸透させ、持続的なサービス品質の向上をサポートします。

まとめ

本記事では、サービス品質向上が進まない原因を情報共有という観点から深掘りし、その具体的な対策を解説しました。

目指すべきサービス像の共有から、現場の負担軽減、スタッフの頑張りを称賛する社内文化づくりまで、その根底には円滑なコミュニケーションが不可欠です。

今回焦点を当てた情報共有という土台が整うことで、研修制度の充実や評価制度の見直しといった他の施策も、より真価を発揮するでしょう。

サービス品質向上の一歩として、まずは貴社の情報共有のあり方を見直してみてはいかがでしょうか。

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